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2015.08.20更新

 借地上建物を相続する際にこれが特に居住者のいない空家だった場合、遺産分割において特定の相続人が取得するのではなく、共有状態のまま相続人全員が承継した状態になることがあります。

 この場合、建物を他人に貸して賃料が得られるようであればいいのですが、誰も借り手がいないような場合、単に借地料を支払っているだけの建物になってしまいます。仮に、借り手が付きそうだったとしても、現実に賃貸に出すにはそれなりのリフォーム代をかけなければならず、その際、相続人間で費用負担で揉めたりして、結局、賃貸に出すことができなかったりします。

 賃貸に出すのが難しいからといって、建物を売却するのも難しい問題があります。地主に借地権ごと買い取ってもらおうと思っても地主が購入に乗り気でなければどうにもなりませんし、第三者の買い手が見つかったとしても、今度は借地権の譲渡について地主の承諾を得なければなりません。しかし、地主の承諾を得る際には地主に対して相当額の承諾料を支払わなければならないのが一般的であり、この承諾料で折り合いがつかないとなると借地権の譲渡承諾許可を得るための裁判を起こさなければならなかったりします。

 建物の賃貸も売却も困難ということになれば、最後は借地契約を終了させてしまうことが考えられます。しかし、借地契約を終了させたとしても、現状回復して土地を返還する必要がありますから、その際建物を取り壊して更地にする費用の負担がまた問題となります。

 このように利用価値の乏しい借地上建物を相続した場合、色々と困難な問題が生じることになります。

 しかも、相続人の中には相続があった事実すら知らない場合もあり、さらに問題を複雑化させる場合もあります。これは相続の場合一般に起きうることですが、例えば、若い時に父親と母親が離婚し、その後に先妻の子と後妻の子が連絡を取り合っていないような場合、父親が数十年後に死亡しても先妻の子はこの事実を知らない場合があります。そこで、父親が借地上建物を有していた場合、先妻の子は知らぬ間に前述したような負担がかかっていたなどということが起きるのです(相続の事実を知った後に相続放棄することは可能です)。 このような場合、相続人探しから始め、相続人同士で処理方法と負担の内容と割合について合意をしなければならないので、解決まで大きな労力を使うことになります。いわゆる空き家問題の難しさはこのようなところにもあると思います。

投稿者: 弁護士 内藤貴昭

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