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2014.12.26更新

 破産事件においては、破産者に特に財産がなく、破産手続費用もまかなえないような場合、破産手続の開始決定がされると同時にこれを廃止する決定がされます(破産法216条1項)。これを同時廃止事件といい、破産管財人が選任されることもなく破産手続きは終了し、あとは破産者の債務の免除(免責といいます)についての審理がされることになります。東京地裁ではこの同時廃止事件における免責審尋を同時刻に複数の人に行う方式を取っているため、一度に大勢の人が法廷に集まり、順次手続が行われることになります。

 

 免責審尋の日には破産者と弁護士の代理人が出席しますが、両者が揃わないと法廷内に入れません。遅刻をすると、裁判官から遅刻の理由について説明するよう求められたり、その日に免責審尋を受けられなくなる可能性もあるので、弁護士にとっては破産者が指定された時間近くになっても表れないと大変あせることになります。

 破産者と弁護士が揃い、集まった人全員が法廷に入ると、40席以上ありそうな傍聴席が一杯になり、着席できない人もでてきます。これらの人達に対して限りある時間の中で手続を行ってゆくので、1人に対して時間をかけることはしません。破産者は自分の順番が来ると当事者席に座り、裁判官から本人であることの確認と住所、本籍等の変更の有無について聞かれます。破産者はそれに対して答えるだけで基本的にこの日の手続は終わり、この間、時間にしてほんの数十秒で法廷を出ることになります。

 

 その後、免責を許可してよいかどうかを裁判官が審理し、決定します。破産者の免責については、既に破産手続開始申立ての段階でチェックがされ、免責について問題がありそうだったり、これを調査した方がよいケースについては破産管財人が付けられ、免責について特に問題がないケースだけが同時廃止事件とされます。そのため、同時廃止事件においては、免責について問題となるケースは多くないと思われますが、たまに申立て段階では明らかにならなかった問題が債権者からの指摘などで問題にされることがあります。

 

 債権者からの意見もなく、特に免責について問題とするような事由がない場合、免責審尋の日から10日くらいで免責を許可する旨の決定が裁判所から弁護士宛に届くことになります。

投稿者: 弁護士 内藤貴昭

2014.12.25更新

 遺産分割の進め方にはいくつかの方法があります。遺言による分割方法の指定にしたがって行う場合、共同相続人の協議によって行う場合、裁判所を通じて行う場合であり、裁判所を通じて行う場合には、まず家庭裁判所において調停が行われ(調停分割)、次に、調停が調わない場合に審判が行われます(審判分割)。

 

 遺産分割においては、共同相続人の間で協議が調えば基本的にそれにしたがった分割がなされます。これはたとえ遺言で分割方法が指定されていたとしても、遺言執行者がいない場合においては、遺言の分割方法の指定によらない分割も可能とされています。

 さらに判例は、共同相続人の全員が既に成立している遺産分割協議の全部または一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることも法律上、当然に妨げられるものではないとしています(最高裁平成2年9月27日)。

 そして、共同相続人間での協議がどうしても調わない場合に、最終的に家庭裁判所の審判に委ねられ、家庭裁判所において相続分にしたがった分割がされることになります。

 

 これに対し、相続債務(消極財産)についての分割は少し状況が異なります。相続債務についても、相続人間での協議によって自由にこれを分割することは可能ですが、もともと相続人は債権者に対して相続分に応じた債務を負っており、基本的にこの負担部分を免れることはできません。したがって、他の相続人の負担部分を引き受ける旨の合意は可能であっても、これを免れる合意は債権者には対抗することができず、相続分に応じた責任を各相続人が負うことになります。また、相続債務について特に分割の定めをしなかった場合でも、金銭債務などの可分債務については相続分に応じて各相続人に帰属していると考えるので、各相続人は債権者に対して相続分に応じた責任を負うことになります(したがって、可分債務については、複数の相続人がいる場合は債務全額を負担しなくて済むことになります。)。

 

 このように、遺産分割はプラスの財産である相続財産についてはかなり自由度の高い分割が許されますが、相続債務の分割は、債権者との関係で一定の制約を受けることになります。この点、遺産分割協議が債権者による詐害行為取消権行使の対象になるとした判例もありますので(最高裁平成11年6月11日)、注意が必要です。

 

投稿者: 弁護士 内藤貴昭

2014.12.23更新

 相続税法が改正され、平成27年1月1日以後に相続または遺贈により取得する財産にかかる相続税について、遺産にかかる基礎控除額が引き下げられることになりました。

 

 これまでは5000万円に加え、1000万円に法定相続人数を乗じた額が基礎控除額とされていました。たとえば、法定相続人が配偶者と子供2人だった場合、5000万円+(1000万円×3人)=8000万円が基礎控除額でした。このように基礎控除額がある程度高かったため、相続税が課せられるケースは相続全体の4%程度にすぎず、実状では相続税のことを心配するのは一部の人に限られていました。

 

 ところが、今般の改正では基礎控除額がこれまでの6割に減額されました。改正後は上記と同様のケースでの基礎控除額は、3000万円+(600万円×3人)=4800万円となりますので、従来に比して相続税が課せられるケースはかなり増えることが予想されます。

 

 相続税が課せられるのに申告をしないと、無申告加算税も課せられてしまいます。相続税が課せられるのは一部の資産家だけという思い込みがあると危険であり、特に不動産をお持ちの方は評価の問題がからむため注意が必要です。今後は相続税の問題はどこの家庭にでも起こり得る問題であると考えおくことが大切です。

 

 

 

投稿者: 弁護士 内藤貴昭

2014.12.23更新

 交通事故に遭った場合に弁護士を通じて加害者側と交渉したり、訴訟を起こす際には、弁護士への相談料、着手金、報酬金などの弁護士費用が発生します。この弁護士費用を自動車保険などの特約で賄うものが弁護士保険と呼ばれるものです。

 

 弁護士保険については加入しているか否かを契約者自身が知らなかったり、弁護士保険の存在を意識してなかったりする場合があります。実際、弁護士保険の加入者数に比べ、弁護士保険を利用された方はまだまだ少ないようです。せっかく弁護士保険に入っているのにそれを利用しなかったり、弁護士費用がかかると思って相手への請求をあきらめてしまったら大変もったいないことです。私が交通事故の相談を受ける際には、必ず相談者の方に弁護士保険の加入の有無について確認してもらうようにしています。

 

 弁護士保険は自分自身が被害に遭った場合だけではなく、ご家族が事故に遭った場合や、自転車による事故、盗難被害その他日常生活上の事故にも利用できることがあります。また、日本弁護士連合会と協定を結んだ保険会社などの場合、弁護士会を通じて近くの弁護士を紹介する制度もあります。弁護士保険の具体的な内容や補償される範囲などはご加入の保険会社に確認してもらうのがよいでしょう。

 

投稿者: 弁護士 内藤貴昭

2014.12.20更新

 借地権付建物を譲渡しようとする場合、通常は借地権設定者である地主の承諾が必要であり、地主の承諾なく建物を無断で譲渡をすれば、地主は借地契約を解除することができます(民法612条)。そこで借地権者としては建物の譲渡について地主の承諾を得るために相応の承諾料の支払いを申し出たりしますが、それでも承諾が得られないような場合には、承諾に代わる許可を得るための裁判を申立てることができます(借地借家法19条1項)。この申立ては借地権付建物を譲渡する前にしなければなりません。

 

 この裁判においては、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡等を必要とする事情等が考慮されますが(借地借家法19条2項)、譲渡自体が地主にとって不利となるような特別な場合を除いて基本的に譲渡は認められ、後は譲渡の際の承諾料が定められることになります。承諾料については概ね借地権価格の1割程度であるとされています。

 

 一方、譲渡を許可される地主としては、この裁判の中で自らが賃借権付建物を買い受けることを申し立てることができます。この場合、当初の建物の買受予定者よりも地主の申し出が優先し、裁判所は相当の対価を定めて賃借権付建物を地主に譲渡することを命ずることができます。ただし、賃借人の譲渡許可の裁判そのものが取り下げたりすると、地主への譲渡命令も効力を失うことになります(借地借家法19条3項4項)。

 

 このように、借地権付建物の譲渡に際しては裁判所が間に入ってこれを許可する制度がありますので、賃貸人、賃借人間で協議が調いそうもない場合はこれを利用することを検討するとよいでしょう。

 

 なお、このような地主の承諾に代わる許可を得る裁判の制度は、競売等で借地権付建物を取得した場合においても認められています(借地借家法20条)。

 

 

 

投稿者: 弁護士 内藤貴昭

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